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「脳転移」と友とわたし㉜「再発検査と奇跡の声」


10月1日緊急入院し、4日に友が入院中に引っ越しを終え、
5日に9月指摘されていた腫瘍マーカーの数値から、
非情に広範囲の再発転移が考えられると言われていた友。 

友は2018年12月30日に亡くなりました。
看取りとその後はこちら→https://sarah51.exblog.jp/i31/

その検査結果を聞く10月5日。

この日、友は万が一退院できた場合に、
担当するケアマネさんと訪問看護ステーションの
事業所長が面会に来る予定だった。

朝のうちに病院に行くと、
友の表情は硬く、手先がぶるぶる震えていて、
緊張のせいなのか脳転移のせいなのか、
看護師さんに聞いても別段昨日と変わりないという
返事だけだった。

ケアマネさんと訪問看護師さんも
主治医に挨拶したいという。

私は友の緊張しているような様子と、
ここ数日のコミュニケーションの
取れなさ加減から、友が今再発転移の
説明を万が一聞いたとしても、
到底受け止められないのではないか。

と心配していた。 

そこで事前に婦人科外来の看護師さんに
そのことを話して、ケアマネと訪問看護師さんの
挨拶も一緒に主治医と面談できないか。

友へどこまでどのように話すのかも
その際に先生と話しておきたい。

そうお願いした。

あまりにも人が変わったように
生きる気力を失くしてしまっている友のことを
外来看護師さんも聞いていたらしい。

そうね、その通りですね。
そうしましょう!ちょっと待っててください。

とすぐ主治医と話をしてくださって。
事前に友にはわからないように、
私はケアマネさんと話をするとだけ言って
病室を離れることにして先に主治医と会い、

その後部屋に戻る頃に友が外来に
呼ばれるよう時間調整してくれた。

その後ケマネさんと訪問看護師さんと一緒に
主治医の先生にお会いし、
私は先生に現状の友の様子を伝えて、
もし検査の結果再発転移があるとしても、

「がんは変わらずあります。
 でも思っていたようなものはありませんでした。
 経過をみましょう」

という具合に話してもらえないかと
先生にお願いした。

実際のところどうなのかは
特にこの時聞かなかった。
あくまでもこちらのお願いを伝え、
あとは先生にお任せすることにした。

病室に戻って友と外来に呼ばれるのを
待っていると、病棟看護師さんが呼びに来て、

「山口さ~ん、移動しましょうか」

と声をかけたが車椅子でないと
移動できないほど友の動きは
普通ではなかったし、
歩ける感じではなかった。

友は何も言わずただでっかく
目を見開いたまま、
婦人科外来の診察室に入り、
私もいっしょに脇の椅子に座った。

先生はCTの画像を友に見せながら、
ノートにも説明を書いてくれた。

「これがリハビリ病院へ行く前の写真。
 ここが肺で、転移のあるところです。

 次が今回の写真。
 これが肺ね。やっぱり転移はあります。
 ここと、ここも。
 でも前とほとんど変わってない感じです。
 
 そのほかには目立った転移は
 ありませんでした。
 腫瘍マーカーがとても高かったので、
 再発転移を心配したけれど、
 今のところ肉眼で確認できるがんは
 今までの脳と肺の他には見つからなかったです。」

と説明してくれた・・。

友は手をぶるぶる震わせながら、
目を大きく大きく開いて
驚いたようにうなずいき、
その表情はとても安堵したように
こわばった顔から普通の顔に
戻っているかのようだった。 

退院したらまた経過診察に来てくださいと
次回の検査予約をとり、
友は深々と頭を下げて診察室を後にした。

私は病棟に友の車いすを押して戻り、
ベッドに友を座らせた後、

「よかったね。安心したね」

と友に話しかけたけど、
壁の方を向いたまま
反応はなかった。

でもあのほんの一瞬だったけど、
安堵したような表情を見せた友を
思い出して、私は不覚にもここで

友が壁の方を向いているのをいいことに、
そして耳が聴こえないことをいいことに、

涙を止められなくなってしまった。
それはもう嗚咽しながらで、
腕で何度も涙を拭うけど、
全然止まらなくて・・。

友にわからないように、
見えないように泣いてたつもりだったけど
もうじっとそこで動けないほど
涙してしまった。

その時だ。

私の小さくきゅっと握った手に
ふっと手を添えて、
小さくぽんぽん、ぽんぽんと
私の手を叩いたりさすったり。

そして友はまっすぐ私の方を向いて
こう言ってきたのだ。

「さあらさんは愛の人。
 今までも。これからもずっと。
 
 私はさあらさんが思うように
 生きていく。
 それでいい。」

そう言ってまた壁の方を向いてしまった。

はっと思い出した。
それは友が以前私をイメージして描いたという
曼荼羅の作品についていた友の言葉だ。 

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私はノートに、

本当はすごくすごく心配で、
転移のことも心配でたまらなかったこと
今回のことも心配で
もっともっと早く友の心の変化に
気が付いてあげればよかったこと。
誰にも相談できなくてつらかったこと。

いろんな気持ちを殴り書きするかのように
泣きながら書いた。

友は横を向いたままだったけど
私はもう友は聞いてくれてると
確信していた。

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また明日来るよ。

そう言っていつものように
友にハグした。

これまで全く反応がなかった
帰りのハグだったけど、

友は私の背中に両手の指を
ぎゅーーーーぅっと
爪を立ててハグし返してきた。

不思議と何も痛くなかった。
背中にくっきり爪の後が
残っていたけど。

私は友が自分で爪を立てて
ぎゅっとするのをやめるまで、
ずっとそのハグを受け止めていた。

後から思うとこれはまるで、

ナウシカのテトに

「大丈夫。怖くない」

と手を出して噛まれてるシーンじゃないか?

と思うほど、友は色々な恐怖と
不安と、混乱と。

いろんな気持ちをそのハグに
表現してたのかなと思う。

退院したら一人暮らししないといけない。

でもきっとできる。
できるようにするよ。

そう思いながら具体的に
何をどう進めようか。

あれこれ考えを巡らせていた。

つづく 







by sarah_51 | 2019-03-13 18:48 | 医療と健康  | Comments(0)